2015年11月23日

ゲームブック作成ノススメ

ゲームブックのブームの時期は、私が小学生の頃でした。
当時の子供向けのさまざまなゲームブックを持ってきて貸し借りして楽しむというものもあったのですが、
一番盛り上がったのが各自がそれぞれノートなどに書き記した、自作のゲームブックを持ち寄ってお互いの作ったゲームブックをそれぞれ見せあったりしたことですね。

 読むことも楽しかったのですが、やはり作る楽しみもゲームブックにはあったと思います。
小説と違いゲームブックはゲーム性があり、尚且つノートと筆記用具さえあれば作れます。当時の子供たちにとってゲーム性を持たしたコンテンツを手軽に作れるということは、とても魅力的だったのですね。コンピュータゲームなんか機材とプログラミング能力を要さないと作れませんし…

 私のみならず、1970年代中期生まれの他の方も小学生時代に自分で作ったとか、誰かが作ってきたとかいう経験はあったのではないでしょうか。

 こういった環境は今現在でも同じです。スキルとツールを要さないと作成できないプログラムのゲームと違い、ノートと筆記用具で作れる手軽なゲーム要素を含んだコンテンツ…それがゲームブックです。

 ましてや、現代になってパソコンが普及して作成を手助けするツールが出てきまして面倒だった作業も簡略化されつつあり、ネットのインフラが整ったこともあり作成したゲームブックを瞬時に世界に向けて発信する環境にも恵まれました。

 読む楽しみもありますが、作る楽しみもあるのがゲームブックです。決して完璧に作るという必要性もないと思います。私もこのブログでの活動は一つの趣味としてのスタンスとして気軽にやることで割り切ってますので、コンテストなどに応募したり、オフ会やイベントに参加するということはせずに、あくまでネットだけの活動に限定してます。簡単な話、ゲームブックを作るのに全員が全員、気難しく本気にならないといけないなんて事はなくてもいいとおもいます。

 プロを目指しているという人は別として、趣味の範囲内でゲームブック作成のカテゴリーもあってもいいのではというのが自分の考え方です。気軽に使える投稿サイトも続々と出てきてますしね。

 下手でもつまらなくてもいいのです。作るということそのものを楽しむのもゲームブックの魅力だと考えてます。とにかく作り続けてれば腕は自然と上がっていきます。キャッチボールも見ているだけでは腕は向上しないのとおなじで、文芸なども読むなどの受動的なものに加えて、実際に作成し続けることで腕を上げていくのです。

 特にバックオフィス業など的確に職をこなしても当たり前だと評価されずに、ミスを犯すと非難をされるタイプの職に就いている方こそ、こういった創作家としての趣味を持つと生きがいにつながると思います。

 簡単な作業は自分がやらなければ他の誰かが代わりにやってくれるだろうとか、あなたでも誰でもできるから誰でもいいということになりますが、創作というのはそういう理念は通用しないカテゴリーでもあります。

 あなたのゲームブックはあなたでしか作れません。

創作というのは個性の大集成でもあります。よって二つと同じものが別々の個性から作られることはありません。
 ですから、文戯研のゲームブックは文戯研でしか作れないのと同時に、あなたのゲームブックはあなたにしか作れないのです。

 あなたが作らなかったら他の誰かがそれを作るということもありません。

 そして、あなたが作り上げたゲームブックが外的な変化をもたらすことだって充分にあるのです。
あなたの作品に感化された他のゲームブックの作家の作風を変えていったり、また読者のゲームブックへの意識を変えることだってあるでしょう。
 大げさに言えばあなたの作品がゲームブック業界の作品類のスタンスを変える役割を持つ可能性だって否定できないのです。
 作らなければそういった可能性もゼロです。

 どのような分野でもそうやって互いの技術の向上を図って現代に至ってます。

あなたが作ることによって、それに影響される人は必ず存在します。そういう風にして技術というのは進化しつつあります。作る人間がバージョンアップしなければ作られる作品もバージョンアップしません。そのためのきっかけの一つがそういった切磋琢磨とした環境にあります。あなたの作品が他の作家を刺激してバージョンアップさせるきっかけになることだってあり得るのです。

 論理を売る評論家は論理が論破され破綻してしまえばそこで全てを失います。ですが、作家というのは何かミスをしてもリカバリーが利きます。作家というのはそれほど深く考えずに楽しむ感覚で取り組むスタンスでもいいと思います。

 ということで、ゲームブック作り、楽しんでみませんか?
posted by 文芸遊戯研究会 at 17:08| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月15日

登場人物にメリハリを

最近、雨が多いですよね。
なんか今年の冬はまた大雪が降りそうな…そんな気がしてならないです。


「銀行員ゲームブック バンカーズクエスト」というゲームブックが発売されました。
早速、買って読んでみました。

 元カノが日本橋の外資系金融に勤めていて、銀行の業務がどんなものなのかはそれとなく聞いてましたが、それでも初めて聞くような専門用語が出てきて、それの説明もなされていて勉強にもなりました。

 調べてみたら作者の方、商科大学の出身のようですね。自分の専攻とされている知識教養をうまく作品に取り組むのは「送り雛は瑠璃色の」や「永劫選択」、「魔物たちの楽園―あるいは臨床心理学の楽園― 」などありましたが、この作品もそういった専門知識をうまくゲームブックに取り入れた、大人向けのゲームブックと言えそうです。

 ただ、残念なことに、バグが数箇所に確認されました。リンクミスなのか文章がおかしいのかはわかりませんが、ルートによってはいきなり会ったこともない人物との接触がかかれていたりと、矛盾や話飛びなどの不自然な部分が発見されました。

 以前の記事にも書きましたが、時系列を軸点とした単方向のゲームブックを書くと、どうしてもこういった矛盾の生じるルートというものは出てきます。ゲームブックを作ったことがある人なら誰でも経験があるのでは。

 話が複雑ならなおさらですね。多くの情報を同時に処理できれば間違えないのでしょうが、そういう人の方が少数派でしょう。

 推測ですが、作者がフローチャート図を書かなかったか、書いても機能しなかったのだろうかなとは思います。

一昔前は大きな紙をテーブルに広げてフローチャートを書き、本文とチャート図を照らし合わせてテストプレイして矛盾を探していたようですが、現代ではそういった不便を解消するデジタルツールも開発されています。

 本文を書いて選択肢と飛び先のパラグラフを指定すれば自動でフローチャートを作成して表示されます。フローチャート上のオブジェクトはタイトル文や色分けで区別できます。そのオブジェクトをクリックすればそのパラグラフの文章や選択肢も表示されるので、本文を読み選択肢を選びながらフローチャートの推移を視覚情報で認識できます。そうすると割と簡単に矛盾が発見されたりします。
 逆に文章だけで作ってフローチャート図を作らず、テストで矛盾を発見して訂正する場合なんかは地獄です。ですからゲームブックを作るならフローチャート図は作成しておいて損はありません。
 このブログで「The GameBook Authoring Tool」を強く勧めているのはそのためです。

 結局、ふさわしいパラグラフを探してそこから読み進めていきました。

 あとは、パラグラフが二つ跨いでいるような見開きのページで、ついつい目にした隣の別のパラグラフにある謎の解答らしき文を読んでしまうケースがありました。
 こういう部分は紙のゲームブックの弱点ですね。仕方ないといえば仕方ないのですが、読まなけゃいいのに何故か目がいっちゃう癖があるので困ります。(しかもそういう時に目にする情報って忘れずに覚えちゃうんですよ。。。)
ま、どうでもいい情報ですね。


 バグを抜かせば、個人的には面白い内容のゲームブックです。
久々に面白いゲームブックに出会えたかなといった感想です。あくまで個人的意見ですが。挿絵もインパクトの強い画風で一昔前のゲームブックを連想させるような感じです。

日常から非日常への展開のさせ方も不自然さが残らず、それでいて読み手を飽きさせないメリハリがあります。
選択させることを重視したパラグラフの作品が多いなか、これはそれぞれのパラグラフを読ませることににこだわっているよう。この辺は私好みですね。

 物語に陰険で卑劣な性格の登場人物を出すことにより、読者に反感を持たせてそれを原動力に読者を導いているようです。大概の人間は陰険で卑劣なタイプの人間を最も嫌う傾向がありますから、私もこいつは失脚させたいと思わせられました。ですが、陰険で卑劣なタイプでも感情に走るバカでなく、理屈を持ち出してくるクレバーなタイプなのでさらに厄介ですね。作家の人もこの手の人間が最も厄介だということは知っていて登場させたのだと思います。

 話の展開などこれ以上はネタバレになるので避けます。

 気になったのは登場人物の設定がなかなかしっかりしていた事ですね。人間関係がネックとなる現代社会を舞台にした創作では登場人物の特性は結構重要だったりします。

 創作物の登場人物はそれを創った作者より下ならありますが、作者そのものを超える事は絶対にありません。

 例えば、作品内でどんなに知識豊富で頭脳明晰な登場人物を書いたとしても、その作者より知識があったり、作者より頭脳明晰になることは絶対にないのです。
 なぜなら、その人物を設定して書いているのは何より作者ですから。作者は自分の知識やスキルを登場人物に投射します。登場人物が知っている知識は作者も知っている知識となります。そして登場人物の行動パターンや発想も作者のそれは超えられません。ありえないのです。

 逆に作者より知識やスキルの劣っている登場人物はいくらでも設定できます。利口な人間がバカを演じるのはできますが、バカが利口な人間を演じるのは中々上手くはいきません。

 よって作者のスキルが登場人物の特性に幅を持たせることができます。

こういった特性を理解していなかったりすると、例えば登場人物がみんな似たような口調で似たような話をしてしまったりします。そうなると人間同士のアクションも味気なく、メリハリもなくなります。

 その辺「バンカーズクエスト」は上手く差異を計っているかなという印象ですね。


 どうしても私たちは自分の視点を創作の主人公や登場人物に投射してしまいます。これはプロの作家でも同じである意味人間の自我が持つ性みたいなものなのでしょう。たとえば、男性の私に女性視点で物語を書いてくれと言われても、なかなか上手くはいかないものです。簡単な話、女性でないからです。

 ですが、女性に話を聞くなど情報を得るのはいくらでもできます。そういった情報を元に自分の中に幾つかの人格を形成しておくと投射しやすいと、ある著名な作家さんから伺った経緯がありますが、自分もその通りかなと思います。

 そのためにも作者側は日々、知識や教養、そして頭脳スキルの向上を怠らないことが重要かもしれません。マルチな分野において教養を深めておけば、物語の登場人物も多種多様な特性の人物が描けると思います。


 特にトリックスター的役割を持つ登場人物を放り込めると、ゲームブックの展開の幅はグッと広がると思います。なぜなら選択肢によって未来は変わりますからね。変わった先の未来でその登場人物が敵になっているか味方になっているかの変化も作れますから。

 もちろん、そのためには作者もトリックスター的な思考能力が求められますが…

 そこまでいかなくとも、様々な性格のオルターエゴを自分なりに作っておいて演ずることで自分の創作する登場人物にその人物像を投射できます。
 献身的で優しい側面を前面に押し出したペルソナで作成してもいいですし、逆に陰険で卑劣な側面を出したペルソナを作ってもいいでしょう。
 それが難しいなら、他人をモデルに登場人物を考察するのも手でしょう。特にネットの社会ではリアル社会とちがい素の人格が現れますから、利用するものは利用しましょう。
 おすすめなのは作り上げたオルターエゴと似た特性の人物に近づくことです。献身的な人物ならその特性をより引き出してそのパターンを自分に取り込むことでオルターエゴの特性を深めることができると思います。



 それはさすがにちょっと訳わからないよーという方には交流分析学を取り入れた登場人物設定をおすすめしましょう。

交流分析学は別名エゴグラムといい心理学の一種のカテゴリーの学問ですが、心理学ほど膨大でなく曖昧でもないので、簡単に覚えられます。
まず交流分析学では人を五つの性格に分けますが、専門用語で語っても仕方ないので、ここでは誰でも分かりやすいよう砕けた表現で書きます。まず自分の手の指をみてください。

 親指がお父さん指で、お父さんは頑固で批判的です。
 人差し指がお母さん指で、お母さんは優しく献身的です。
 中指がお兄さん指で、お兄さんは理屈っぽくあまり感情を表に出しません。
 薬指がお姉さん指で、お姉さんは自由奔放で遊び好きです。
 小指がこども指で、こどもは他人の目を気にしたり、とても従順です。

交流分析ではこの5つの性格があり、5個それぞれの性格を強弱のグラフに合わせて判断します。

お父さん思考とお兄さん思考が強いと頑固で理屈っぽい性格です。

そんなに深く考えずにこのグラフを登場人物全てに設定して性格を設定してみてください。この5個の特性に合わせて登場人物を5つに分けてもいいでしょう。

 登場人物のしゃべり方や行動パターンもその性格に合わせたものとして意識しながら行うと割と登場人物の差異が作れるようになります。
 実をいうとこの方法も受け売りだったりします。
結構簡単にできると思うので試してみるといいかもしれません。


…って、また記事にまとまりがなくなってしまった。。。

posted by 文芸遊戯研究会 at 21:16| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

デジタルとアナログ

今回の記事はただのコラムですので、あまり大したことは書いてません。暇つぶしにどうぞ。

ゲームブックの作成においてアナログしかなかった時代より、デジタルツールが豊富にある現代での作成のほうがかなり合理的になったというような話を前回のエントリーで記事にしました。

 ただゲームブックを作る側ではない読む側にとって、デジタルというのは必ずしも利便性に富んだだけのものでもないようです。


 私の親父なんですが、かなり昔からピュアオーディオマニアでして、その趣味を自分も継承したりしています。
経営から退いた数年前から親父がCDからレコード主体にクラシックを聴くようになり、私も親父のシステムでレコードを真空管アンプと木のスピーカーで聴く機会がありましたが、CDなどのデジタルとはまたひと味もふた味も違った味わいのある音で驚かされました。

 確かにCDはレコードよりも高音質という触れ込みで発展しました。
次の曲や前の曲への移動もいちいち針を持ち上げて予想した場所へと落とすレコードに比べて、CDはボタンひとつで移動できます。
何回も聞いていると針と盤の摩擦で音が劣化するアナログ盤に比べてCDはそれがありません。

 何もかもがレコードの不便を解消したCDは当時画期的で、瞬く間に普及しました。

 ですが、あれから30年近く経て改めてアナログ盤を聴いてみると、針を落とす行動も儀式みたいで新鮮味ありますし、何度も聞いていると音が劣化してしまうため、ひとつ聴くのに真剣になってしまったり、そしてあの温かみのある音はデジタルでは絶対表現できない領域ですね。

 そういうことから、アナログとデジタルでどちらが優位かなんて議論は個人的にはあまり興味がなかったりします。


時計もデジタルが普及した頃にアナログはなくなるのではという懸念がありましたが、実際全体の時間を計算したりするのは右脳の情報を経由できるアナログ時計に軍配があがりますし、アナログ、デジタルでどちらかが絶対的に優位ということはないと思います。


 ゲームブックも同じです。
確かに電子書籍になって利便性は格段に上がったと思います。
普段電話やメール、ネットをしている端末上で読める上、何冊持ち歩いていようがかさばらない、紙の日焼けや読むことでページに手の汚れが付く紙と違って劣化がない。そしてパラグラフを瞬時に移動できるリンクが設定されていること(リンクが付いていればの話ですが…)。

 紙の書籍に比べると格段と使いやすくなりましたが、逆に味わいみたいな感覚はなくなりました。
タッチすればリンク先に即移動できるのは確かに便利です。ですが、その中間の儀式が省略されたようになって味気がなくなっているような感も受けます。
 紙の書籍ではページを指でめくって任意の数字を探したりしますが、デジタルでは画面が速攻で切り替わるだけです。

 具材を切って炒めて煮込んで作るカレーとインスタントカレーのパックを茹でて作るカレーと、言ってしまえば極端なはなしですが、ある意味そういう面倒臭さやフラストレーションが逆に味を引き立てる部分もあるのかなと最近は思うようになってきました。

 そういう感覚を持っている人は割といるようすが、デジタルはデジタルで先ほど述べた利便性にすぐれていますし、決してデジタルだからゲームブックとは言えないとか、そういう極論はナンセンスかなと思います。


 CDが出はじめたときもアナログ盤主義者が、音楽はレコードで聴いてこそ音楽だ。CDなんてもので聴くのは「音楽」なんかではない。あれは「楽音」だなんて言い出しそうなほど凝り固まった人もいましたが、そこまで強迫観念にとらわれても何も産みだせないでしょう。

 デジタルにはデジタルの良さがあり、アナログにはアナログならではの味わいがあります。
どちらかに優劣をつけて自分に言い訳がましく説得したところで、自分の収入が上がるわけでも、世界が平和になるわけでもありません。だったら「プロセス」にはこだわらず、「結果」を楽しんだ方が有意義な生活を送れるのではないかと考えてます。

 自分が計画して執筆している長編もエキセントリックなシステム上、デジタルの配信だと恐ろしいほどやりづらくなるため、自費出版でもしようかなと考えてます。ま、その前に別の分野の計画を進めているのでいつになるかはわかりませんが。


 デジタルにふさわしいコンテンツなら、デジタルで出せばいいですし、
 アナログにふさわしいコンテンツなら、アナログで出せばいいです。


現代になってそのどちらかへの選択肢が増えたというだけなので、フレキシブルにそれぞれ選びたい方を各個人で選べばいいだけなのです。

どちらかが廃れるわけでもなければ
どちらかを廃れさせないといけないというルールも法律もないのです。
posted by 文芸遊戯研究会 at 19:05| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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