2016年03月21日

「片想いからの脱出」終了

 脱出ゲームブック第5弾?(公式では姉妹品とされています)「片想いからの脱出」が終了しましたので、その「読書感想文」を書こうかなと思います。


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 ということで、今回も長文を提供したいと思います。

 というよりもだんだん自分の我が出てきたように思います。ある意味吹っ切れました。元々の自分がこんな理屈っぽい性格です。今までの自分が猫かぶっていた感じですね。それても私についてきたいという方はとことんお付き合いください。文戯研独特の世界に誘いましょう。


 姉妹品という位置付けの通り、「片想いからの脱出」という作品は前作の4作品とは全く違う特性だと考えてください。

 謎解き主体の前作4作品と比べ謎解きはあってないようなレベルです。
前に「聡明なスパイは耳がいい」の謎解きは簡単というような記事を書きましたが、今回の作品はそれ以上…というよりも比較にならないほどイージーな造りとなっています。

 ですので謎解きが苦手な方にもそれなりに楽しめると思います。謎解きが全くないわけではありませんが、個人的にはそれほど詰まることなく進めました。

 書籍の形ですが、必要なのはネット環境へとアクセスできるブラウザを備えたPCやスマホが必須となります。それがない方や持っていても全く使い方がわからないなどの方は無理かもしれません。
 ただ主人公が高校生という設定からも若い世代の男性をターゲット層としていますので、若い世代向きのツールを必須にしたところでそれが販売の足かせになるようなことはないかなと思われます。

 全体的には謎解きもありますが、インターネット環境を駆使して情報を収集する情報収集能力をゲームブック進展に使うような感じです。
 そしてゲームブックストーリー内のキャラクターがあたかも現実でネット世界に絡んでいるように、ネットのいたるところにその活動の痕跡を残しています。実際にいるかのような感じにも見られなくはないです。

 これはある種のヴァーチャルリアリティなのかもしれません。はたから見るとそんな仮想空間のキャラクターたちがネット上で存在をアピールしているのは滑稽といえば滑稽なのですが、なぜか仮想現実を味わっているかのごとく新鮮味があるのは不思議なものですね。私だけかもしれませんが。

 ということでこの作品の醍醐味は恋愛の疑似体験です。文章や展開は淡白な印象も受けますが、こういったアプローチもなかなか粋なものです。

 昔のコンシューマーゲームに「夕闇通り探検隊」というアドベンチャーゲームがありまして、中学生3人が仮想の街で犬の散歩で廻って様々な場所で起こる心霊現象を検証するという内容でした。
 主体はその怪奇現象を体験したり解決するゲームですが、なぜか犬の散歩そのものが私には楽しくなってきまして、本当にリアリティな感覚の街並の中を犬を連れて走り回って裏道に入り込んだり、街を歩く通行人に話しかけたりと、実際に街に繰り出して散歩すればできることが、なぜかゲームの中で行うとそれはそれで別の感覚があるものです。とはいえプレイヤーの私は中学生でもなければ犬も飼っていないし、道行く歩行者に気軽に話しかけたりはできないので、そのような現実ではできない過程の行動がヴァーチャルリアリティでは行えるため、それが新鮮味に繋がっているのかなと思ってます。

 ゲームやゲームブックしかりくだらない仕掛けだとは思いつつ仮想現実の世界を味わえる試みというのは、それはそれで確立された楽しみ方かもしれませんね。 

 自分で言うのもなんですが、「未来をかえる宝物」というゲームブックもゲーム性よりもそんなヴァーチャルリアリティを愉しむ方向性で作りました。昭和50年前後生まれの少年の当時の遊びをゲームブックで再現した形です。今となっては遊べないあの頃の世界へとタイムスリップして遊べればという意図で制作いたしました。
 もともとは電子書籍のゲームブック制作のためのサンプルとして作ったもので30パラグラフという制約を掲げて制作したものですが、くだらないと思われがちな仮想現実のシステムも、それなりに受け入れてくれる人もいたようで勝ち負けや白黒つける傾向のゲームで娯しむのとは別に世界観そのものを愉しむのもありかなと思うに至りました。

 
 「片想いからの脱出」も彼女のいない層にとっては恋愛の仮想現実がそれなりに味わえる演出もあるので、謎解き以外にそういう演出を親しむ愉しみ方もいいかもしれません。
 この本はそんな「未来をかえる宝物」同様、現実と空想を融合させて独特の世界観を作っています。「【Re:Love Letter】」の要素も含んでいる感じもしますが、どうなんでしょうね。作者の方、これらを読んだのかな? だとすればちょっと嬉しいかもw


 あと、この本は現代の若い世代をモチーフにしているため、トレンドを話題としています。TwitterやFacebookやLINE、そしてYouTubeなどのネットサービスと上手い具合に連携しています。

 そのため出版時の時代背景にかなり影響される傾向にあると思います。
 十年後に読んだらまた違った懐かしさのある媒体として愉しめる要素もあるかもしれません。
「あっ、この時代はまだTwitterで情報交換してたんだ。今はツイートなんて言葉は死語だよな。」なんて言われる未来もあるかもしれません。そうなると恋愛そのものを楽しむよりも書籍そのものの出版時代背景の懐かしさを味わう役割に代わるケースも無きにしにあらずですね。

 ゲームブックのみならず創作物でこう言った時代背景やトレンドを組み込んでしまうと、どうしてもこういった作品が受け手に与える感受性の変化が出てきたりします。それを懸念材料とするならはその辺も考慮して作らなければならないでしょう。

 案外IT関連のデバイスやネットサービス等のブームは以外と短命です。以前、mixiが台頭し始めた頃もこのサービスは今後の日本の主体となるだろうという意見も上がりましたが、今では下火となってしまいました。

 Twitterですら最近になって下火の兆候が出始めまして今更ながら文字数制限を取り払う動きも出てきました。
そうなると他のブログサービスの敷居に踏み込んで、同じ舞台で活動することになるので、おそらくここのポイントで現状維持するか衰退するかの変化点になるかとは思います。
 その他のサービスも踏まえて一生のトレンドとなるかどうかの信憑性は危ういものです。

 通信のデバイスでも時代とともに目まぐるしく変化しました。
 ゲームや映画、小説などでも二十年前のものではポケットベルやPHSを通信手段に使う話が書かれていましたが、今となって読んでみると時代遅れな感が否めません。
 十年前ならフューチャーフォンも台頭していましたが、スマートフォンやタブレットが主流となりつつある今、それすらも危うい現状なのかもしれません。
 そして今やウェアラブルデバイスが出てきました。十年後にはスマートフォンやタブレットも廃れてくる可能性もあるでしょうね。

 子供の時に雑誌の付録か何かのゲームブックでダイヤルQ2に電話をかけるなんて仕掛けがあったのも覚えてます。
内容やタイトルは失念しましたが、家族に内緒で電話をかけて請求書でばれて大目玉食らった経験あるので内容よりもそのことがインパクトが強く残っていたりします。
 それも時代の色が濃く出た出来事ですね。

 そんなトレンドや技術の変化によって逆に作りづらくなったジャンルもあります。推理小説です。

 昔と違い、携帯電話やスマホでGPS位置情報もつかめてしまいます。
密室に閉じ込められても通信機器で外部と連絡取れてしまいますし、外を歩けば街中は監視カメラの海です。車を走らせればNシステムは避けて通れません。
 一昔前の推理小説なんかも今の世界に置き換えてしまうと、情報通信機器が存在すれば破綻してしまうトリックも出てきます。電波の通じない雪山の山荘という設定なら考えなくてもいいのかもしれませんが。。。
 そういった情報通信機器の存在する現代社会での推理トリックを生成する場合は当然その手の情報通信機器やインフラの特性も熟知した上でトリック形成していかないと、詳しい人からありえないのではというツッコミも出てくるでしょう。
 それこそ突っ込まれないよう慎重にSF小説を書くような感じなのかもしれないですね。

 時代の変化というものが創作の壁となるか、はたまた逆に利用してトレンドのコンテンツを作るか。
 現代の作家さんには過去の作家さんにない能力が求められる傾向にあるのかもしれません。



 もう一つ、「片想いからの脱出」には先に進めるために情報をインターネットで検索して進めるという手法を取ってきました。

 これも時代の流れが生んだ新たな情報収集手段かと思います。

 インターネットがなかった時代には情報収集はというと、テレビや新聞、書籍が主で、家の文献にない情報を求めるには書店や図書館などに足を運んで情報収集したものです。

 そんな時代に重要視されていた能力が記憶力です。

 例えば1192年に何が起こったかと言えば鎌倉幕府が始まった年と記憶して、ではその時の征夷大将軍の名前を誤字脱字や間違いなく書けるかといった記憶力を持つ人間が「頭がいい」とされてきました。

 大学入試(特に文系)などもそんな記憶力をベースにした試験を展開していました。(今もその名残を汲んでいますが)

 とにかく、詳細な事項までいかに記憶できるかが人類の頭脳明晰の判断基準であるかのごとく、記憶力というのは重要とされてきました。

 そんな時代に有用なパズルとしてもてはやされたのがクロスワードパズルです。
 クロスワードパズルは行う相手の知識量を試す意味で、雑学から時代をかたどった事象に関していかに知識として記憶しているかを判断するためのパズルで一時期はそれがアナログのパズルのデファクトスタンダードでもありました。

 ところが今はすっかり成りを潜めて、存在はするもののあまり需要もなくなったようです。
 むしろ数独やピクロス(イラストロジック)などの方が今は人気のパズルとなりました。

というのも、クロスワードにて問題を提示しても今はインターネットで検索してしまえば簡単かつ瞬時に答えを導き出せてしまうのです。
 もともと記憶している知識量を試すためのパズルですが、知識を記憶していなくとも現代社会では「代替としての頭脳」から知識を引っ張り出せるのです。

 そうなるとクロスワードで解答を導き出して記入する行為はパズルゲームとしての側面よりも一つの作業のように認識されてしまい、そうなるとゲーム性としての楽しみも薄れて離れていく人も出てしまいます。

 要するに知識量のある人が頭の中の記憶から解答を引っ張り出すことと、知識は持たないがインターネットで検索してそれに見合った情報を導き出すことが結果的に同類となった今、記憶力という能力への期待性や優位性が過去と比べて下がったのは事実です。
 分かれば凄い分からないなら仕方がないの昔と違い、分かって当たり前分からなければググって調べろの現代です。

 クラウドストレイジサービスを展開するEvernoteのキャッチフレーズに「外部に第二の頭脳を持つ」と言ったニュアンスのキャッチコピーがありますが、スマホやタブレットなどの情報通信機器全般がそう言った「外部の頭脳」なのではと思いますね。

 もちろん全く知識や記憶力が不要という免罪符にもなりえませんが、利用するものはできる限り利用して結果オーライの合理性が崇拝される現代で「外部の頭脳」を駆使して結果を展開することは有効的な展開ともされています。
 いわば知識力や記憶力は機器の技術の進歩によりそれが高い人と低い人のスキルの差が狭まりつつあると言えるのかもしれません。

 そのような兆候のでてきた現代社会でたくさんの知識をいかに正確に記憶しても昔のように他者に対してあまり優位に立つということも無くなりました。ですから今後のIT化された社会でそのような能力の優れた人材が有効であると認められるケースも少なくなると見込んでいます。

 では現代で人と能力の差をつけ、現代社会で必要とされる人材となるにはどうしたらいいのか。

 難しく考える必要もありません。
どんなに情報通信機器の技術が進歩してもコンピュータでは全く入り込む余地のない、いわば人間が得意とする分野の能力を磨けばいいだけです。

それは何か?

 機械で代替できる単純な知識や計算の情報収集でなく、それらを応用して展開させるという発想力や創造力などのカテゴリーの能力です。
 これらの応用力から展開される創造、発想の能力は技術が進歩しようとも人間には勝てないと思います。

 創造、発想という言葉を聞くと絵画を描いたり音楽を作曲したり小説を執筆したりするクリエイティブ関連を連想してしまいがちですが、想像力、発想力を活かせる分野は何もそれらに限ったことではありません。

 例えば商品を企画開発する際にも有用ですし、
営業でのプレゼンテーションなどの企画、
そして事務や経理などのバックオフィスに置いても作業の効率化などのアイディア提起などに有用に働きます。
もちろんビジネスの他に人生でつまづいたり悩みを抱えた時にそれを打破するアイディアの構築にも役立ちます。

 こう言った応用を求められる作業はコンピュータにはできない分野ですので、その手の能力を磨いておくと会社から必要な人材と思われる一因になるかもしれません。

 ではその能力を磨くにはどうすればいいのか?

 完璧な解答までは出来かねますが、とりあえずこのブログの様々な記事を読んで「ゲームブック」を作成してみればいいと思いますね。

 作ったら投稿サイトなどで公開してみましょう。その作品に影響を受ける人となりが出てくるかもしれません。そうしたらそれを糧にステップアップして影響を受けさせる人数を増やす努力をしましょう。

 ゲームブック作成を楽しみながら創造力、発想力を磨けたりするものです。

 この時、決して人と比べたりするのはやめましょう。
ナンバーワンを目指すのではなくオンリーワンを目指すのが長続きする創作家のポリシーです。
「ゲームブック作成ノススメ」という記事でも書いたことですが、あなたの作品はあなたにしか作れないものです。ですからあなたのライバルは他の誰でもなく過去のあなたです。創作というのは孤独なレースなのです。

 前の記事でも書いたことですが、誰でもできることというのは誰でもいいという理由にもなります。誰でもいいということは何もあなたでなくてもいいということで、それはあなたの仕事そのものを否定することにもなるのです。そうなると何か変化が起きた時に不利になれば捨てられる可能性も出てきたりします。

 ですので自分でなければできないという分野を一つ構築しておくと自分的に優位に働くと思います。
 何も職業的なものだけでもなく、趣味の一環として創造、発想が活かせるカテゴリーに身を置くというのもアリでしょう。ゲームブック作成で磨いた想像力や発想力がふと自分のビジネスで有効的に働いたということも出てくるかもしれません。
 それが応用というものです。

勤め先の会社から「あなたでなくては任せられない」との回答を引き出せればしめたものですよ。

 ゲームブックに限ったことでなく、絵画を描くとか小説や音楽を創作するというのもいいかもしれませんが、ゲームブックには選択肢を創造するという特殊な創作が入るので、自分を見つめ直すという意味でもオススメです。
posted by 文芸遊戯研究会 at 00:14| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする