2016年09月13日

フローチャートを作ってみよう

久々の更新です。

以前「裏技」なるものを公表しましたが、あまり反響はありませんでしたね。
電子書籍ゲームブックを出版されている版元関係者の話では出版したばかりには一気に売れるものの、すぐに下がってしまう傾向にあるのだとか。

要するに一部の熱狂的ファンが買って、それ以外の一般の人の関心が少ないようです。

 紙の書籍で復刻版が出た時も話題にはなりました。ですが、今の現状です。
売れれば次から次へと復刻版が出されるのでしょうが、売れないとどうしても復刻出版を考えた際「これは売れるのかな」という疑問も呈します。

 読みたいけど絶盤してしまって手に入らない本も多々あります。欲しいけど価格が跳ね上がってしまっているものもちらほら。
読みたいけどプレミア価格はちょっとと考えているところに、そんなものよりもこれは今でも売られているじゃんと別の本を勧められてもため息しか出なかったりします。読んでもいないものをそんなものって表記するのも失礼ですが。。。

 創作物って代替がなかなか効かないものなんですね。
昔おもちゃ屋でドラクエが品切れ騒ぎを起こしている時に、ドラクエが欲しいと泣いている子供の元に店員がヘラ◯レスの栄光を出して、「これも同じジャンルだからこれ買いなよ」って勧めてたものの「ドラクエがやりたいんだよっ」って反論されてたのを見ました。子供心に随分滑稽に思えたのを記憶しています。

 ま、どのような商品であれ進化するものなので、ゲームブック一つを取っても今と昔では特性が違っているものもあります。進化した新しいものがいいのかといえば工業製品やソフトウェアなどはそうでしょうね。(何の判断基準でという根本的な問題もありますが。。。)
 しかし、芸術性を帯びた創作物の類はあまり説得力はありません。大昔に描かれたモナリザの絵よりも現代に作られた3DCGの美少女「Saya」の方がいいかと言われれば「人それぞれなんじゃないの?」って答えるより他はありません。「Saya」の方が当然新しいですが、かといってそれだけでモナリザを否定する材料とはなりえません。

 物の好みなんて人それぞれです。好みの方向性だって人それぞれです。

 例えば昔ながらの名車のハコスカを大事に乗っている人に、プリウスの方がスペックも乗り心地も上なのになんでそんなのに乗っているのとか、最新の車の情報を知っていればそんなの乗らないでプリウス選ぶよと言われたら、ハコスカに乗っている人は「好きだから乗っているのに」と不快になるでしょう。確かにハコスカよりもプリウスの方が馬力もトルクも燃費も乗り心地も耐久性も上です。ですがそれだけが判断基準でしょうか?
 「ハコスカもいいけどプリウスも乗ってみるといいもんだよ」ってなら話はわかりますけどね。
 車社会も旧車に乗っている人は増えてきました。ただ維持費は馬鹿にならないそうです。経済活性化のためには致し方ないのですが、なんでも新しいものというのも少し寂しい気もします。


 ということで、昔親しんだけど買えなくなった絶盤本が何でも気兼ねなく手に入る環境が訪れれば、個人的には第二次の(マイ)ブームですね。そこに豊富な新作も加われば一次ブームよりもビックウェイヴといったところでしょうか。
 電子書籍という媒体が出始めて少しは突破口は見えてきたかなとは思いますが、なかなか思うようにはいかないのかなとも考えたりもします。




前置きが長くなりましたが、今回の記事はフローチャートです。

ゲームブックを制作する時にもフローチャートを作っておくと矛盾に気づきやすいというような内容の記事を配信しました。
今回はゲームブックを制作するためのフローチャート作りではなく、すでに出されている出版物のフローチャート作りの話題です。

 ですが、ここで記事にする目的はあくまでフローチャート作りが最終目的ではなく、【フローチャートを作ることによって見えてくる情報の収集】が目的です。
海外なんかでは芸術としてフローチャートを使う人もいたりします。以前に「エルの季節」というテレビゲームをやってそのフローチャートが立体で構成されていて美しかったのを思い出しましたが、そういう方向を望んでいる方はこれからの記事に失望してしまうのでご了承を。

 既刊されているゲームブックのフローチャートを作る目的ですが、先ほど申し上げた他に「攻略」情報の提供という目的もあります。フローチャートをネットで公開されている人は大体この攻略情報の提供を目的とするか、前述の芸術として見せるためのどちらかだと思います。

 あとは冒険記録紙の延長線上としての役割です。プレイして楽しみながらフローチャートを書いていけば、ゲームオーバーになった時などある程度の流れを見て、適度な位置のパラグラフからのやり直しが容易にできます。フラグチェックやアイテムなどの情報をパラグラフのオブジェクトに記載しておけばどこで何が手に入ったかも記録できます。この場合は公開とかしないで自分のために利用する形ですね。

 【フローチャートを作ることによって見えてくる情報の収集】が目的の場合も不特定多数に公開する必要性はないので、フローチャートの見た目や芸術性は考えてません。

 では、フローチャートを作ることでどのような情報が得られるのか?

普通に読んでプレイする情報とは全く違った観点からの情報がわかります。普通にプレイすることが文系的な学習ならば、フローチャートほ作って読み解くことは理系的な学習に近い感覚です。
 ゲームブック作りにおいてフローチャートも作っておいたほうがいいということが、今回の記事でおそらく分かるかなと思います。

 フローチャートを作られている方は海外では割といますが、国内ではあまりいないようですね。それでもきっちりとフローチャートを作っている方がいましたのでリンク貼っておきます。数タイトルですが分析してフローチャート化しています。あくまで攻略としての情報提供ですが、うまく情報をまとめていますね。ルーチンやスクリプト関連の得意な人だと情報も理路整然としています。とにかく見やすい。

※ 未プレイの人にはネタバレになる情報を含んでいるので注意ください。

アドベンチャーゲームエンジン
https://osdn.jp/users/syun77/pf/adv/wiki/FrontPage


今回の記事では、攻略としての情報の他にフローチャートからどういったことが判るかとか、ゲームブック作りにどう役に立つのかということをお伝えします。

フローチャートを作ること自体はかなり簡単です。小学生にでもできます。

よってフローチャートを作る行為そのものは単純作業なので、それで何か得られるものはあまりありません。

ですが、出来上がったそれから様々な情報を引っ張り出して分析していく作業はそれなりのスキルが必要となります。それらが先ほど申し上げたルーチンやスクリプト関連の理系の能力です。フローチャートを作ることはそれらを身につけていくのにも一役買うでしょう。いわゆる論理力というやつです。

 論理力を身につけることはゲームブック作りにおいてかなり有用です。ゲームブックの特性はある観点における量子力学的な構造を兼ね備えているので、論理力というのはそれと深く関わってくるのです。(機会があれば別記事でお話しします)

 私自身も文系の人間なのであまりルーチンやらスクリプトやらの論理力は優れていません。よって今回、一つの作品を分析していきます完璧ではありません。
あくまでフローチャートを分析する流れだけ提供する形とします。


 今回分析するゲームブックはこちら

DSC_0007.jpg

「魔女の倫理と君の理由」という同人タイトルのゲームブックです。

ついでに簡単なレビューもしておきましょう。
問題編160パラグラフ、解決編60パラグラフの計220パラグラフの作品です。
文庫本サイズでプレゼントでもらったので値段はわかりません(汗)
紙質も良く全カラー(白黒の挿絵もある)です。

 パラグラフ番号をページの頭に持って行っているため文章の最後は開いているスペースができている部分もあります。そこに登場人物の魔女の立ち絵を入れているため、パラパラめくると魔女の絵だらけです。そのため220パラグラフながら382ページという分厚い本に仕上がっています。うまくボリュームがあるように見せてます。マーケティング手法の一つですね。

 特徴は主人公が二人いること。陸郎という男子高校生と魔女のMという女性の二人の視点がパラグラフ毎に交互に切り替わりながら物語が進められていきます。交互というよりも唐突といった感じなので驚かされます。

 謎解きですが、解けませんでした。
自分自身、脱出ゲームブックシリーズ5巻やレイトン教授のシリーズをあまりヒントには頼らず達成するほどですが、その自分ですらわかりませんでした。本音を言うとわかる人はいないのではと思うほどの謎解きです。

脱出ゲームブックシリーズの謎解きをルービックキューブや知恵の輪を解くようなものなら、このゲームブックの謎解きは数十本のきつくがんじがらめに絡まったロープを一本一本解いていくような、そんな感覚の謎解きです。ヒントらしいヒントはありません。というかヒントはあるみたいなのですが、それがヒントかどうかの区別がつかないのです。そういうのがお好きな人ならお勧めですね。


 それではこれをフローチャート分析していきましょう。

ここから先はネタバレ部分もあります。これから楽しみたいという人は注意。
あとフローチャート化するならその前に正直にプレイしましょう。この作品は正直にプレイするとクリアできないので先にフローチャート化しましたが。



0m.jpg

これが「魔女の倫理と君の理由」の問題編全体のフローチャートです。

フローチャートを作るツールは「The GameBook Authoring Tool」を使いました。
ゲームブックのフローチャートを作るならこれが一番です。なんてったってゲームブック専用のツールですから。
選択肢を作ってパラグラフ番号を入力してEnterするだけ。あとは勝手にフローチャートを作ってくれます。300パラグラフを呑気にやっても小一時間で仕上がります。簡単なので使い方の説明は割愛します。

その他のツールを使う場合はフローチャート専用のツールや、アウトラインプロセッサなどを使いましょう。

 少なくとも矢印をいちいち打ち込むようなツールだと時間がかかって仕方ないので、矢印を自動的に設置してくれるものを選びましょう。
フローチャート作りそのものは何も大した勉強にもならないので、すぐに終わらせられるツールの方が時間を節約できます。


 ゲームブックのフローチャートを見慣れている人ならこの画像を見てすぐにわかると思います。
このゲームブックの特性ですが、「極めて小説に近いゲームブック」です。フローチャートを作ることでこのような特性が見えてきます。

 パラグラフが数珠つなぎに一本道を形成している部分が多いです。
いわば選択肢がなく単一のパラグラフへと飛ぶパラグラフが多いです。160パラグラフのうち、選択肢のないパラグラフが122で、選択肢のあるパラグラフが38となっています。このことからも単一で話が進む小説としての特性が強いことが伺えます。


では細かく分類して分析していきましょう。
パラグラフ番号下のテキスト、およびオブジェクトの色ですが、それぞれ

フラグチェック用のアルファベット(所得は青、あるかどうかの所得チェックは緑で記号を[]で囲ってあります)、

特定の文字列を見つけた際のパラグラフ移動数値は黄色

そしてその特定の文字列、見つけた呪符など(色なし)を示しています。何もないパラグラフはそのままパラグラフ番号を記載しています。
ゲームオーバーは黒です。

ちなみに色付きのオブジェクトは通過しないとクリアできません。



1ブロックのチャートです。


m-1.jpg

110に関しては飛び元のパラグラフが見つかりませんでした。もしかしたらどこかに謎解きの一環として隠されているのかもしれませんが見つけられなかったのでその状態で記載しています。88はリンク元もリンク先もないパラグラフです。
97の「未開封の飲み物」は数値フラグチェック用で知っていた場合は140へ飛びますが、その数値が得られるのは解決編です。内容はサブイベント的なもので最終的にはゲームオーバーにつながります。

 すべてのフラグを回収しないとエピローグへたどり着けないので97の後は102-21-91-24-41-66-109-3が正解です。121と31に訪れると最後の最後で弾かれます。
その後は第二ブロックまでほぼ一本道の小説モードとなります。もちろん96で「P」を回収しないと弾かれます。

 初めから103までは陸郎の視点で展開されてます。訪問者のMが何を考えているのかわからないミステリアスさを醸し出していますが、96に入ってM側の視点となりMの考えが書かれています。115でもMの視点での展開となり次の151では陸郎の視点に戻っています。その他パラグラフによって陸郎視点とM視点が不規則に現れています。120の選択肢を見る限り、主人公が二人に設定されていることが伺えます。

 151にて最初のフラグチェックが行われます。[D]と[P]の双方にチェックがされているのか、それともどちらかにチェックされていればいいのかわからなかったのですが、話の流れを見ると双方のようですね。自分の理解が足りなかったのかな。

[D]と[P]のチェックがされてないとゲームオーバーに飛ばされます。
どのみちすべてのフラグを回収していないと最後の最後で弾かれるので、自分でしたら102の[Q]と66の[K]の含めてフラグチェックしたほうがいいかなとも思いました。

あと50と51は個人的には分けず同一パラグラフでいいと思いました。あくまで作者の作風なのでいいのか悪いのかという観点では言えませんが。
フローチャートを作るとこう言う部分も気付きます。ただ文章を読んでいると気づかないようなものもフローチャートを作っておくと気付くものなので、ゲームブックを作る際は面倒でも作りましょう。

153-117-103は各登場人物をそれぞれ分割して紹介しています。こう言う分割された情報や場面の切り替わりなどで選択肢がなくともパラグラフを移動させるのは割と効果的です。連結して小説のように展開させるよりも読者側も理解しやすいです。そういう世界観などを示す際にはゲームブックの特徴を活かしましょう。



第2ブロックです。

m-2.jpg

70から16へ進みます。
16にて「ルナティック」という文字列に数値フラグが課せられています。その場合は76へ進みます。このフラグも解決編で入手できるものでアナザーストーリー的なものです。
73に第一ブロックから伸びている矢印は140からのものです。76-141-152は一本道の小説なので私だったら同一パラグラフで展開するかなというのが正直な感想。ただ作者の意図するところがあるのかもしれないので、私が知らないだけなのかもしれません。

解決編を進めてない場合は16から62までは一本道です。6にてAにこのパラグラフ番号チェックするように指示されています。必ず通ることになる必須のパラグラフなのでプレイした人全員がチェックすることになります。フラグチェックはプレイヤーのルートによって後に得られる事項を差別化するものもありますが、ここではあくまで謎解きの情報提供としてのフラグチェックなのかと思います。自分であれば全員がチェックするならあらかじめチェックシートに記載しておく形をとるかな。

選択肢によって得られる得られないフラグを別として、必ず通るルートに設置されているフラグチェック用のアルファベットはA.E.L.S.T.W.X.Y.Zがあります。
ただこれらはフラグそのもののチェックに使われてはおらず、最後の謎解きに使われているようです。(ようですって表現も微妙だけど…)

105にてようやく複数の選択肢が提示されているパラグラフに着きます。
内容は肢体を調査するシーンです。
フローチャートを見ればわかると思いますが、これまでは単一方向型だったルートから双方向型へと切り替わっています。このように単一方向型と双方向型が混在しているゲームブックは多いです。これもフローチャートを作ることで見えてきます。

 ただ双方向型で気を付けたいのは、双方向型でのメリットが生かされているかどうかです。制限を設けないと双方向型はそのメリットを活かせない部分もあります。
制限を設けないタイプで有用に作用するのは、

 一つは目的がフラグ的なもの。いわゆる宝探しなど何かを見つけるとか所得が目的なものですね。見つければそのルートは不要なので抜けられるシステム。制限がなくとも読者によって早く見つけられたか見つけられないかの差別化が図れる部分もあります。

 二つ目は情報提供などで読者側に読者の求める情報を各個人で自在に取捨選択できるパターン。いわゆる目次的なもので読者側が知りたい情報のパラグラフへ飛び、知らなくてもいいあるいは知っている情報のパラグラフへは飛ばなくていいことから、合理的に情報収集できうるシステム。

 三つ目は疑似体験的なものですね。上記の情報収集と理屈は同じで疑似体験に置き換えたもの。要するに興味のあるものとないものを取捨選択して選べるということです。ゲーム全般の目的が主ではなくて、シーンや雰囲気そのものを愉しむ傾向のコンテンツなどです。


 ですが、探索や調査などが目的で双方向型を作ると読者側は全部見たいという気持ちになります。このような謎や情報が主体にあるものは情報を多く仕入れておいたほうが有利になるということは読者は無意識的に知っているので、当然すべて回ってすべてのパラグラフを読み回そうとします。

ここで制限がないと結果的にはすべてのパラグラフを読者が回る羽目になるので、結局のところ双方向型のメリットが活かせなくなってしまいます。いわば章を読む順番を選べる小説のようで、酷い読者の場合だと「だったら小説でいいのでは」という苦言を呈されることだってあります。

探索や調査など謎や情報が絡む目的の双方向型のものを設置する際には、制限を設けることで緊張感と読者の差別化が得られゲーム性は増します。
例えば「時間がないためここから3か所だけ訪れられる」などの時間制約的なものを設けるとか、選択したパラグラフによって強制的に単一方向型のルートに飛ばされるパラグラフを設けるとか、もしくは謎を解かないと先に進めないルートを仕込むなどの制約を設けることで、読者は選択することに関して考えるというルーチンが発生するのです。ズルすれば意味はないのですが、それをされることを前提に製作をされると作者が読者を疑っている前提で作っているということになるので、最終的に信用がない作家さんと評されることもあります。その辺は考慮しておいたほうがいいでしょう。

 話を戻しますが、このフローチャートの場合、フラグや情報は全て回収する形となります。右の選択肢から順に回ってもよし、全て回って情報を回収したら26を選んで45へ。全て回るので112へ行くことはないと思います。必要がないパラグラフかもしれません。

75ですが36を参照する指示があります。29経由で訪れると訪れていないパラグラフを参照するような感じに捉えられますが、これはある意味救済処置的なものでしょう。29経由へ訪れた人に取り忘れたFのチェックパラグラフを掲示することでチェックの取り忘れを指定しているのかなと、個人的にはそう捉えています。



続いて3ブロックです。

m-3.jpg

ここは小説のようなものですね。ほぼ一本道です。
15から48、104、131、119の4パラグラフに移動でき、104を通過している場合のみ119から28へ通過しています。
なぜかここのみフラグ名が「ある事」となっています。ここも4つ全部回れるので、ほぼ一本道と変わりありません。自分でしたら無理に分けずに15から83までの10パラグラフを小説として繋げるかなと思います。

 フラグのEとLは必ずチェックする事になります。

83で選択肢が入ります。111は12を先に読んだかどうかのチェックですので、結果的には33と12の二択になります。33は三つのパラグラフを回って83へ戻ります。ここも一つのパラグラフに纏められるかなというのが個人的な感想です。
12へ上から伸びてるのは110からのものです。110がどこから伸びているのかは自分ではわかりませんでした。気になる方は作者に聞いたほうがいいかもしれませんね。

101でOのフラグチェックが入り持っていなければゲームオーバーです。Oは小さな鍵とセットで入手出来るため、ここから先のプレイヤーは必然的に小さな鍵を必ず持っている計算になります。

138はフラグ所得とチェックの双方が混在します。ゲームオーバーになることはないのですが、126を訪れていた場合はTかJ、またはTのみ、訪れていない場合は双方とも所得できずにクリア不可ルートに直行です。ただ、105からのルートは全て廻れるようになっているのでよほどの不注意な方以外は進めると思います。

144のXは全員取れますが、その後の選択でMが回収できるか、クリア不可ルートに行くかの選択肢が分かれます。



そして第4ブロックです。

m-4.jpg

ここで大掛かりな双方向型のルートが現れます。家の中を探索するシーンですね。
ただここでも制限はありません。片っ端から全て回って全てのフラグや情報を回収しましょう。
パラグラフの数値計算のフラグが多いのでそこさえ見落とさなければ簡単に全てのパラグラフを回れます。

全て回ったら113へ行きます。113から89までの5パラグラフは一本道です。よってIのフラグは全員所得です。



第5ブロックです。問題編はこれで最後のブロックとなります。

m-5.jpg

89で被害者の身辺を洗います。ここも制限のない双方向型ですので自由気ままに全てのパラグラフを回れます。
9の小さな鍵のフラグチェックですが、前途の通りここに訪れるプレイヤーは100%小さな鍵を持っているので、それを見落とさないか否かのチェックとなります。

ほとんどのプレイヤーが全て回って情報を回収できると思います。気が済んだら127へ。


127からはほぼ小説です。ここまでくればフローチャートを見れば一目瞭然なのであえて説明する必要もないでしょう。


ただ32で作者側から読者側へとあることが試されます。
ここは作者の性格が色濃く現れていると思いますね。要するに読者の性質が作者のそれと同類かどうかを試しています。

作者の性質と読者の性質が同じならクリアに必要なフラグが手に入り、そうでないならエピローグは見せないよと言う振るい分けです。

何が言いたいかというと正直な人はここでバイバイということです。
正直でないずる賢い人間だけエピローグを見せるよという意思の表れです。

なぜそうなのか?
おそらく普通にプレイしただけではわかりません。
フローチャートを記録することによってある部分が浮かび上がってきます。
フローチャートを記録しないとわからないからこそ、この記事にこの作品を選びました。

この作品のエピローグを見るためにはフローチャートの黒以外の色付きのパラグラフを全て通らないといけません。
第一ブロックをよく見てみましょう。勘のいい方はすぐわかると思います。

ネタバレですが作者が読者にズルを求めてます。

フローチャートを書くか全てのパラグラフを片っ端から読まない限り、これには気づき辛いでしょう。

個人的には表現の一つなのかなと容認はしていますが、正直な人ほど頭にはくるかと思います。あくまで自由気ままに作れる同人作品だからこその表現なのかと思いますが、同時にこの作品は読者の性格を選ぶ作品とも言えるでしょう。

 創作物はその作者のパーソナリティを忠実に再現します。パーソナリティとは個人によって千差万別で、正直な人もいれば平気でルールや約束事を破る人もいます。信頼を得るために誠意を尽くす人もいれば口外禁止の情報を平気で他人にベラベラ話す不実な人もいます。
 
 自分も一時期、数え切れないぐらいの人の就職の面接に立ち会ってきました。
多くの方の履歴書を目にしてきましたが、その人の性格や思想、行動パターンといったものが履歴書の書き方に色濃く出ているのを知りました。嘘のような本当の話です。

 創作物も履歴書と一緒で作者の個性というものが色濃く出てきます。
そういった観点から、人間関係と一緒で作品と読者にも相性というものがあります。

この作品は小説に限りなく近いゲームブックですが、ゲームブックとしてみなす人もいれば、ライトノベルでいいじゃんと否定する人もいます。どちらも言い分はありますがどちらが正しいとかという短絡的な問題でなく、それぞれの好みの問題です。自分に合うか合わないか。ただそれだけです。

 作者が読者に誠意を求めるかズルを求めるかでも違っています。自分の相性のいい人の作品は比例して相性がいいのかもしれません。

 自分に合わないからゲームブックでない。そう決めつけてしまうと、自分の基準がゲームブック業界の標準だと言っているようなものです。
自分がキーマカレーが好きでマッサマンカレーが嫌いだから、キーマカレーがカレーの正しい形でマッサマンカレーはカレーじゃない。そう例えるとよくわかるのではないでしょうか。

 ゲームブックにも多種多様な表現方法があります。

冒頭で新しいものを崇拝して古いものを否定する傾向に苦言を呈しましたが、それも一緒です。何でも一つプレイしてみてこの作者のテーマには賛同できないなと感じたら、次からはその作者の作品は買わなければいいだけです。どのような製品もそうやって自分好みの製品を取捨選択していく。この国はそれが許されているのです。
どっかの国のように将軍様がこの作品が好きだから国民もそれに習って好きにならなければならないという法律もルールもないのです。

自分好みの作品がなければ作りましょう。それだけの話です。



話を戻して解決編のフローチャートです。

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ほぼ一本道の小説です。
特に説明はいりませんね。
パラグラフ23で僕視点に変わりますが、20で彼という表記に変わり、次の34でまた僕という視点に変わっています。
何かリドルストーリー的な意味があるのかなと思います。ただその意図はわかりませんでした。

このゲームブックですが、そう言った特性から電子書籍として出しても通用すると思います。むしろ電子書籍の方が相性がいいのではと思います。ぜひ電子書籍版もほしいものですね。


フローチャートを作ることによって何がどう作用して、どのような展開を生んでいるかがお分かりいただけたでしょうか。

ただ私個人としては他の作者が作った作品のフローチャートを作って分析するのはあまり好きではありません。
作者によってはフローチャートで分析されるためにゲームブックを作成したのではないという理念の作家もいます。

例えば自分が丹念に作った料理を食べもせず色々と箸で区分けして材料をノートに記載している人を見たら不快になることもあるでしょう。
せっかく食べてもらうために作ったのに…とがっかりしてしまうかもしれません。

フローチャートを作って公開するのは結構なことですが、その前にちゃんと正直にプレイしてその感想を書くなど作者の本意に沿うような態度を見せてから行いましょう。

あと、フローチャートを作る最終的な目的はゲームブックを作ることにあると思います。フローチャートを作って分析するのが好きならゲームブック作りにも挑戦してみましょう。


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posted by 文芸遊戯研究会 at 19:37| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする